サステナブルコスメのフェアトレード原料:初めてでもわかる選び方と環境・社会への配慮
はじめに
サステナブルコスメへの関心が高まる中で、様々な「環境に配慮した選び方」が注目されています。成分、パッケージ、製造工程など、考慮すべき点は多岐にわたります。今回は、その中でも特に重要な視点の一つである「フェアトレード原料」についてご紹介します。
コスメの原料となる植物や天然成分は、開発途上国で生産されているものが少なくありません。フェアトレードは、これらの原料が「公正な取引」によって調達されているかどうかに焦点を当てます。初めてサステナブルコスメを選ぶ方でも理解できるよう、フェアトレード原料がなぜ重要なのか、そしてどのように見分ければ良いのかを解説します。
フェアトレード原料とは?なぜコスメ選びで重要なのか
フェアトレード(Fair Trade)とは、「公平・公正な貿易」を意味します。特に、開発途上国の生産者や労働者が、経済的に不利な立場に置かれがちな状況を改善することを目的としています。コスメに使われる植物由来の原料(例えば、シアバター、ココナッツオイル、カカオバター、アルガンオイルなど)の多くは、アフリカ、アジア、中南米などの地域で生産されています。
フェアトレードの原則は、単に適正な価格で原料を買い取るだけでなく、以下の点も重視します。
- 生産者の生活向上: 適正な価格に加え、フェアトレード・プレミアムと呼ばれる奨励金が支払われることがあります。これは地域社会の発展(学校建設、医療施設、インフラ整備など)に利用されます。
- 労働環境の改善: 安全な労働環境、児童労働・強制労働の禁止などが保証されます。
- 環境保護: 持続可能な農業方法の実践、生態系への配慮、化学物質の使用削減などが推奨・義務付けられます。
つまり、フェアトレード原料を選ぶことは、単に肌に良い成分を選ぶだけでなく、原料が作られる土地の環境を守り、そこで働く人々の尊厳と生活を支えることにつながるのです。サステナブル(持続可能)な社会を実現するためには、製品そのものの環境負荷だけでなく、その原料がどこから来て、誰によって作られているのか、という「サプライチェーン」全体への配慮が不可欠です。
フェアトレード原料を使ったコスメの見分け方
「フェアトレード原料を使っています」と表示されていても、その基準は様々です。初心者の方が信頼できるフェアトレード原料を使ったコスメを選ぶためのポイントをご紹介します。
1. 認証マークを確認する
最も分かりやすい目印の一つが、国際的なフェアトレード認証マークです。例えば、国際フェアトレード認証(Fairtrade International)のマークは、最も広く知られている認証の一つです。このマークが付いている製品は、原料の生産から輸出入、製造、そして完成品になるまでの各段階で、厳しい国際フェアトレード基準が守られていることを示します。
- 国際フェアトレード認証マーク: このマークが付いている場合、製品に使用されている特定の原料(マークの下に原料名が記載されることが多い)が、国際フェアトレード基準に基づいて取引されたものであることを意味します。全ての原料がフェアトレードであるとは限らないため、どの原料が認証されているかを確認すると良いでしょう。
他にも、企業独自のフェアトレードプログラムや、特定のNGOなどが関わる認証、あるいは複数の基準を組み合わせた認証なども存在します。初めての場合は、国際フェアトレード認証マークを目安にするのが分かりやすいでしょう。
2. ブランドの情報を確認する
ブランドの公式サイトや製品ページで、原料の調達方法について詳しく説明されているかを確認することも重要です。「コミュニティトレード」「エシカルソーシング」といった言葉で、生産者との関係性や環境への配慮について積極的に情報公開しているブランドもあります。認証マークがなくても、透明性の高い情報提供を行っているブランドは信頼性が高いと考えられます。
3. 具体的な原料名をチェックする
前述したように、シアバター、ココナッツオイル、カカオ、アルガンオイル、アロエベラ、バニラなどは、フェアトレードの対象となりやすい原料です。製品の成分リストにこれらの原料名があったら、そのブランドがどのように調達しているのかを調べてみるのも良いでしょう。
フェアトレード原料コスメを選ぶメリット・デメリット
メリット
- 倫理的な選択: 生産者の生活向上や労働環境改善に貢献できます。
- 環境保護への貢献: 持続可能な農法を支援し、現地の生態系を守る取り組みを後押しできます。
- 透明性と信頼性: 認証を受けている製品や、情報公開に積極的なブランドは、安心して選ぶことができます。
- 品質: フェアトレードを通じて、生産方法が改善され、高品質な原料の安定供給につながることもあります。
デメリット・注意点
- 価格: フェアトレードの取り組みにはコストがかかるため、一般的な原料を使った製品と比較して価格がやや高くなる場合があります。ただし、最近は手頃な価格帯の製品も増えています。
- 選択肢: まだ全てのコスメカテゴリーにフェアトレード原料を使った製品があるわけではありません。欲しいアイテムの種類によっては、選択肢が限られる可能性もあります。
- 情報収集: どの原料がフェアトレードか、企業の取り組みはどうかなど、自分で情報を集める必要がある場合もあります。
まとめ
サステナブルコスメを選ぶ上で、フェアトレード原料は「肌への優しさ」に加えて「地球や人への優しさ」という視点を与えてくれます。製品パッケージの認証マークや、ブランドの公式サイトで原料の調達について調べることから始めてみましょう。
フェアトレード原料のコスメを選ぶことは、遠い国の生産者を応援し、持続可能な環境を守るための、私たちにできる身近な一歩です。少しずつでも、コスメ選びを通して社会貢献につながる選択を増やしていくことは、きっと素敵な変化をもたらすでしょう。