地球想いコスメレビュー

アップサイクルコスメ入門:捨てられる食材や植物がコスメに?初心者でもわかる環境配慮と使い心地

Tags: アップサイクル, サステナブルコスメ, 環境配慮, 成分, 初心者向け

アップサイクルコスメとは?注目される理由

近年、「サステナブルコスメ」という言葉を耳にする機会が増えました。肌への優しさに加え、地球環境への配慮も同時に行うコスメ選びが広がりを見せています。その中でも特に注目されている取り組みの一つに、「アップサイクルコスメ」があります。

アップサイクルコスメとは、本来であれば捨てられてしまうような廃棄物や副産物を再利用して作られるコスメのことです。例えば、食品の製造過程で出る野菜や果物の搾りかす、使われなくなったコーヒー豆、間伐材などがコスメの原料として活用されています。

なぜ、このようなコスメが注目されているのでしょうか。それは、廃棄物を減らし、資源を有効活用することで、環境負荷の低減に繋がるからです。サステナブルなコスメ選びに関心があるけれど、何から始めれば良いか分からないという方にとって、アップサイクルコスメは取り組みの内容が分かりやすく、比較的選びやすい選択肢の一つと言えるでしょう。

「アップサイクル」ってどういうこと?環境への貢献

「アップサイクル(Upcycle)」とは、「リサイクル(Recycle)」とは少し異なる考え方です。リサイクルは、廃棄物を分解したり加工したりして、別の製品の原料として再利用することを指しますが、アップサイクルは、元の製品や素材の形や特徴を活かしながら、より価値の高いものに生まれ変わらせることを目指します。

コスメにおけるアップサイクルは、主に食品産業や農業、林業などで発生する「副産物」や「廃棄物」を化粧品原料として活用する取り組みです。例えば、ジュースやオイルを搾った後の果物やナッツの搾りかす、コーヒーを淹れた後の豆かす、木材を加工する際に出る端材などが挙げられます。

これらの素材は、そのままでは廃棄物として処理されてしまうため、焼却や埋め立てに伴う環境負荷が発生します。しかし、これらを化粧品原料として活用することで、廃棄物の量を減らすことができます。また、本来捨てられるはずだったものに新たな価値を与えることで、資源の無駄をなくし、循環型の経済に貢献することが期待できます。

さらに、アップサイクル原料を活用することで、新たな資源を採取・栽培する必要が減り、それに伴う土地利用や水資源の消費、エネルギー使用、CO2排出といった環境負荷を抑制することにも繋がります。これは、地球の限られた資源を大切に使うというサステナブルな考え方に基づいています。

コスメに使われるアップサイクル原料の例と特徴

アップサイクル原料としてコスメに活用されている素材は多岐にわたります。いくつかの例をご紹介します。

果物や野菜の搾りかす

ジュースや食品加工の過程で大量に発生する皮や種、搾りかすには、ポリフェノールやビタミン、ミネラルなどの栄養成分が残っていることがあります。これらを抽出・加工することで、抗酸化作用や保湿作用、肌を整える効果などが期待できる化粧品原料として利用されます。リンゴ、ブドウ、オレンジ、ベリー類などがよく使われる例です。

コーヒーやお茶の葉

コーヒーを淹れた後の豆かすや、お茶の製造過程で出る葉なども、アップサイクル原料として活用されています。コーヒー豆かすには、肌を引き締めたり、古い角質を除去したりする効果が期待されるカフェインやポリフェノールが含まれることがあります。お茶の葉も、カテキンなどの美容成分を含んでいます。スクラブ剤やエキスとして使われることがあります。

植物の搾りかすや副産物

オリーブオイルやアルガンオイルなどを搾った後の固形分や種も、アップサイクル原料になり得ます。これらに残る油分や食物繊維などを活用し、保湿剤やスクラブ、パウダーの原料として利用されることがあります。

その他

林業で出る間伐材や木くず、食品製造で出る米ぬかや酒粕なども、アップサイクル原料として化粧品に活用される例が見られます。それぞれの素材が持つ特有の成分や機能性を活かし、様々な製品に配合されています。

アップサイクルコスメの環境配慮レベルと選び方

アップサイクルコスメは、廃棄物削減という分かりやすい環境配慮の側面を持っています。しかし、その「環境配慮レベル」は製品やブランドによって異なります。選び方のポイントをいくつかご紹介します。

どのような原料がアップサイクルされているか確認する

製品によっては、使用されているアップサイクル原料の種類や、それがどのように調達・加工されているか(例:どこの地域の、どのような産業から出た副産物か)を詳しく記載している場合があります。具体的な取り組み内容を知ることで、その製品が持つ環境配慮の背景をより深く理解することができます。

環境配慮は原料だけではない

アップサイクル原料の使用は素晴らしい取り組みですが、サステナビリティは原料のみで決まるわけではありません。パッケージの素材(リサイクル可能か、詰め替えはあるか)、製造過程でのエネルギー使用、輸送方法、企業の全体的な環境・社会貢献への姿勢(フェアトレード、動物実験の有無など)も重要な要素です。アップサイクル原料を使っているかどうかに加え、製品やブランドが他のどのような環境配慮を行っているかを確認すると、より包括的にサステナブルな製品を選ぶことができます。

価格帯と入手のしやすさ

サステナブルコスメは価格が高いというイメージがあるかもしれませんが、アップサイクル原料を活用することで、比較的コストを抑えつつ環境配慮を実現している製品もあります。特に、大量に発生する副産物を有効活用している場合などは、価格が手頃な製品も見られます。ドラッグストアやバラエティショップ、オンラインストアなど、様々な場所で購入できるようになっていますので、まずは手に取りやすい価格帯の製品から試してみるのが良いでしょう。

アップサイクルコスメのリアルな使用感

アップサイクル原料が使われていると聞くと、使用感が特別なものなのではないかと感じるかもしれません。しかし、多くのアップサイクル原料は、既存の一般的な化粧品原料と同等、あるいはそれ以上の機能性を持つように開発・加工されています。そのため、使用感は配合されている成分全体によって決まり、アップサイクル原料だからといって必ずしも使い心地が劣るということはありません。

例えば、果実の搾りかす由来のエキスは滑らかなテクスチャーの化粧水や美容液に、コーヒー豆かすは適度な粒感を持つスクラブに、といったように、原料の特性を活かした製品設計がなされています。香りについても、原料由来の自然な香りがするものもあれば、無香料や他の香料で調整されているものもあります。

重要なのは、ご自身の肌質や好みに合った製品を選ぶことです。テクスチャーや肌へのなじみ方、使用後の肌の変化などは、一般的なコスメを選ぶ際と同様に、成分表示や製品説明、他の人のレビューなどを参考にしながら判断するのが良いでしょう。

正直なレビューとして、もしアップサイクル原料特有の香りが感じられる製品に出会ったとしても、それは自然由来の成分が使われている証拠の一つと捉えることもできます。ただし、香りの好みは人それぞれですので、気になる場合はテスターなどで試してみるのがおすすめです。また、原料によっては微細な粒子が残っている可能性もゼロではありませんが、通常は肌刺激にならないように適切に加工されています。敏感肌の方は、念のためパッチテストなどを行うとより安心かもしれません。

まとめ

アップサイクルコスメは、本来捨てられるはずだったものに新しい命を吹き込み、コスメとして活用する素晴らしい取り組みです。廃棄物を減らし、資源を有効活用することで、環境負荷の低減に貢献します。

この種類のコスメを選ぶことは、単に肌のお手入れをするだけでなく、地球環境への意識を高め、賢くサステナブルな消費行動を実践することに繋がります。初心者の方でも、まずは気になるアップサイクル原料を使った製品を探してみたり、パッケージや企業の情報を参考にしたりすることから始めてみるのがおすすめです。

アップサイクルコスメを通じて、肌にも地球にも優しい、新たなコスメとの出会いを楽しんでいただければ幸いです。